第34章 月夜の悪戯の魔法
トーダは眉間の皺をより一層深くした。
「この世で1番……いや、1番は言い過ぎだな。わたしたちの次くらいには、信頼できる奴のところにいるからだ」
「……それは誰だ?」
クユンが少し驚いたような顔をしながら聞いた。
「さあ?」
ケイトは首を傾げて、嘘を言った。
「しらばっくれんな!」
トーダの堪忍袋がとうとう切れて、トーダはケイトに怒鳴った。
「別にわたしの勝手だろう?」
「この!」
「まあまあ」
ケイトに殴りかかろうとしていたトーダをクユンが宥めた。
「別にいいじゃないか。アユナが心配なのはわかるが……少し過保護過ぎるぞ、トーダ」
「……別に」
トーダはそっぽを向いた。
ケイトはその様子を笑って見ていたが、ある気配を感じて砂浜の方を見た。
(……帰って来たか)
ケイトはクユンとトーダを見た。
「2人は先に中に入ってろ。時間も遅いんだしな」
トーダはケイトを睨んだ。
「お前……またそんなことを……」
「じゃあ、聞くが」
ケイトは剣呑な目でトーダを睨んだ。
「お前たち2人は……昨日、眠れてないんじゃないのか?」
「!」
トーダは目を見開いて、ケイトを見た。
「何で……」