第34章 月夜の悪戯の魔法
その頃、水神海賊団の船の上では、クユンとトーダとケイトがアユナの帰りを待っていた。
「アユナのやつ、遅いな」
クユンは壁にもたれて、腕組みをしていたケイトに向かって言った。
「本当にどこに行ったのか、教えないつもりか? ケイト」
トーダはケイトを睨んだ。
「ああ」
ーーケイトは先程から、2人にこのような尋問をずっと受けていた。
「何で教えない? 理由は?」
「アユナと約束したからだと何回言わせるつもりだ? トーダ。わたしはいい加減疲れたんだが?」
「お前が答えないのが悪い」
ケイトはため息をついた。ーー昼間、アユナとお喋りをしていた時に約束したことだ。他のみんなには言わないでほしいと。言ったら反対されるかもしれないということと、あとは……。
ーは、恥ずかしいから……。
そう言って、顔を赤くする彼女にケイトも折れてしまった。
「約束は守るべきだろう?」
「確かにそうだが、何故そこまで頑なに言わないんだ!」
「アユナの帰りが少し遅いからと言って、気を荒くするな」
トーダは眉間に皺を寄せた。ーー堪忍袋の尾が切れそうになるのを懸命に堪えている。
「心配するな。アユナは絶対に無事だ。わたしが保証する」
ケイトは面白そうなものでも見たかのように言った。
「……どういうことだ?」