第34章 月夜の悪戯の魔法
その後、足が乾くまでアユナとキラーは砂浜で話をした。ーー昔のこと、航海をしてからのこと、新しい仲間のこと……。主に、自分たちの周りのことを話した。
「アユナ」
会話に一段落がついた時、キラーがアユナを呼んだ。
「何?」
「足は乾いたか?」
キラーはアユナの足を見ながら言った。
アユナは自分の足を触って、乾いたかどうか確かめた。ーー足はもうすでに乾いていた。
「乾いてるよ」
アユナはキラーを振り返った。
「……じゃあ、もう行くか……」
「……うん……」
アユナは少しだけ寂しそうな顔をした。ーーキラーと離れれば、次はいつ会えるかわからない。何ヵ月先なのか、何年先なのか……もう会えないのか……。ーーその気持ちはキラーも同じだった。だが……。
(いつまでも……こうしているわけにはいかない)
ーたとえ離れても、自分たちは前に進まなくてはいけない。
アユナは立ち上がった。
キラーもアユナが立ち上がったのを見て、砂浜から腰を上げた。
「またね、キラー」
アユナはそう言って、自分の船の方へ歩を進めようとした。
「待て、アユナ」
すると、キラーに呼び止められた。
「?」
アユナは後ろを振り返った。