第33章 それぞれの想い
キラーは笑った。
(……惚れてるな。おれも)
ーまさか、こんなに真剣になるなんて思わなかった。
「いつ、この想いを伝えられるのか……」
「いつ伝えるの? 今でしょ!」
すると、突然ドアの向こう側から声がした。
キラーはびっくりして起き上がり、慌ててドアから体を離した。
「はは、すまなかった。おれだ。船医だよ、キラーさん」
そう言って、船医はキラーの部屋の中に入って来た。
「傷の手当てをしに来たんだ。あんたも酷い怪我をしてたようだからね。だけど、あんたが勝手にどっか行っちまうから、困った困った」
そう言って、船医は笑った。
「キッドの頭に怪我は1つもなかったけどね。あんたにはあるだろ? ほら、見せてみな」
船医はキラーの羽織っているシャツを脱がそうとした。
「い、いや、大丈夫だ! おれは怪我をしていない!」
キラーは慌てて、船医から離れた。ーーアユナに治してもらったと言ったら、何て言われるかわかったもんじゃない。
「そう言わずに」
船医はキラーのシャツを無理矢理脱がした。
「……おい、これ……」
「……」
船医は怪訝そうな顔をして、キラーを見た。
キラーは黙って俯いた。