第33章 それぞれの想い
キラーは船に戻って、すぐに自室に駆け込んだ。
他の船員たちは不思議そうにキラーの自室の方を見た。
キラーは部屋に入って、ドアを思いっきり閉めた。そして、そのままドアに背中を預けて、ずるずると床に座り込んだ。
(……おれは何をしているんだ……)
キラーはマスクを外して、前髪をくしゃりとかきあげた。
(好きな女と言っても、向こうはおれのことを何とも思っていないのに……)
キラーはため息をついた。
(だいたい、最初におれは何をした? アユナを抱き締めなかったか?)
キラーは自分がアユナに対して起こした行動をこの上なく反省した。
(それに……おれは告白までしようとしてなかったか!?)
だんだんパニックに陥ってしまい、キラーは頭を抱えて、叫びたくなった。ーーそんなことをすれば、キッドや船員たちに変な目で見られるから、絶対しないのだが。
「……はァ」
キラーはため息をついて、天井を見上げた。
「おれは本当に何がしたかったんだ……」
ー一緒にいたかった。ただ、それだけだったのかもしれない。島を出れば、また会えるかどうかなんてわからない。だから、この島で少しの間だけでもアユナと一緒にいて、アユナと時間を共に過ごしたかった。