第4章 すれ違う心
「気を付けて……行って来てね。わたしは……キラーにまた会える時を、待ってる」
アユナは目を閉じた。
「待ってるよ。ずっと……」
ーーずっと、待ってる。たとえ……あなたが死んで、その約束が果たされなくなっても……待ってる。
アユナもキラーを抱き締めた。
「キラー……」
(大好き……)
ーーだが、その想いはキラーには伝えない。今は、伝えない。
(次、もしも生きて会えたら……)
ーーその時に伝える。そう決めた。
アユナはそのままキラーにもたれて眠ってしまった。ーーキラーが辺りに睡眠作用のある薬草の粉を撒き散らしたのだ。自分がアユナといることで、彼女に対して未練がましくなり、明日……海に出られなくなってしまうことを恐れて……。
キラーは腕の中にいるアユナを見て、小さく笑った。
「まったく、無防備過ぎるにも程がある」
キラーは無防備に寝ているアユナの綺麗な頬を撫でてから、自分の上着を脱いでアユナにかけた。そして、ポケットの中に書いておいた手紙をそっと入れた。
「アユナ……」
キラーはサラサラと風に靡いている髪の毛を撫でた。
「好きだ。アユナ。お前が大好きだ」