第4章 すれ違う心
「……」
キラーは言葉を失った。
(おれがアユナのことを嫌いだと?)
ーー何でそんなことになったんだ……? そんなこと……。
「そんなこと、あるはずないだろう!」
キラーは自分でも驚く程、大きな声を出した。ーー半分は自分の不器用さにイラついて。もう半分はアユナに対するこの気持ちをどうすればいいのかわからなくて……。
キラーの言葉にアユナは驚いた。
「おれはアユナが傷付く姿を見たくない。だから……」
ーーだから、連れていけない。大好きだから。大切だから。ーー初めて愛した女だから。
(傷付けたくないんだ……)
ーー傷付いてほしくないんだ……。
キラーはアユナの手を掴んで、自分の方に引き寄せた。
(……え?)
キラーは6歳年下の少女を抱き締めた。離れないように。ーーどこか遠くに行かないように。
「……」
アユナは驚きのあまり、何が起こったのか分からなかった。
しばらくの間、2人は黙ったまま抱き締め合っていたが、少ししてからやっと状況を理解してきて、アユナが口を開いた。
「キラー」
キラーは答えない。ーーただ、先程よりも強く抱き締めるだけで……。