第33章 それぞれの想い
アユナはある程度の長さになった包帯代わりの布を切って、清水で洗った。そして、それをキラーの傷に丁寧に巻いた。
「これでよし」
アユナは笑った。
「……すまない。ありがとう」
キラーは切られたアユナのワンピースを見ながら言った。
「……せっかくのワンピースを台無しにしてしまって……すまない」
アユナは驚いた顔をした。そして、優しく笑った。
「そんなこと気にしないで。わたしが勝手にやったことなんだし」
キラーは首を横に振った。
「おれが弱いから怪我をしたのに……アユナに手当をさせて、その上、服まで台無しにして……情けない」
「そんな……」
アユナは眉尻を下げた。ーーそんな顔をさせるために、手当をしたわけではないのに……。
「キラー……」
「……アユナ」
キラーは伏せていた顔を上げた。
「この島には……後、何日いるんだ?」
「え……」
アユナは驚いて、目をパチクリと瞬きした。
「えっと……後3日はいると思うけど……」
「……そうか」
キラーはスッと立ち上がった。
「キラー?」
「……明日の夜、また会えるか?」
「え……」
アユナも立ち上がり、キラーと目を合わせた。
「……やっぱり……ダメか?」
「……」
ーー水神海賊団の船長であるミーウはキッドの闘いで負った傷と移し身によって請け負ったキッドの傷を体の中で浄化するために、未だ眠っている。そのような状況であるのに、敵である海賊団の副船長と会うだなんて……許されることではない。