第33章 それぞれの想い
アユナはキラーを見た。
「キラー……」
「好……」
「この傷、ちゃんと手当てした?」
「……は?」
そこまで言いかけて、キラーはマスクの中で眉間に皺を寄せた。
「右腕、痛むでしょ?」
アユナはキラーの右腕に優しく触れた。
「ッ!」
その瞬間、キラーの右腕に激痛が走った。思わず、その場に崩れる。
「やっぱり! キラー、腕見せて!」
アユナは焦った様子でしゃがみ、キラーに言った。
「そんなことしなくても……」
「ダメ! 早く見せて!」
珍しく言い方が強いアユナを見て、キラーは目を見開いた。
ーこんなに焦ったアユナは見たことがない。
キラーは黙ってシャツを捲り、アユナに右腕の傷を見せた。
「酷い怪我じゃない! 何でちゃんと手当てしなかったの!?」
アユナは怒りながら、傷口に手をかざした。
「清水」
アユナは自分の手のひらに清水を出した。
「キラー、じっとしててね」
アユナはキラーの傷を清水で流した。
「ッ!」
キラーは少し顔を歪めた。
「痛いと思うけど、少しだけ我慢して」
アユナはキラーの傷を清水で流し終えると、自分の白くて長いワンピースのスカートの裾を能力を使って切り始めた。
「! アユナ、何を……」
「包帯がないんだから、こうするしかないでしょ?」