第33章 それぞれの想い
キラーはもう1度名前を呼び、アユナにゆっくり近付いた。
「……会いたかった」
キラーはアユナのところに来ると、そう言って、アユナを優しく抱き締めた。ーーキラーたちが出航する前日の夜のように。
(……え?)
「キ、キラー!?」
アユナはキラーに抱き締められて、体が強張った。
「な、ど、どうしたの!?」
アユナは少し抵抗しながらも、顔を赤くして言った。
「嫌か? アユナ」
キラーが少し寂しそうに尋ねた。
「い、嫌って言うか。その……」
ー恥ずかしい……。
「こ、恋人じゃないのに……こんな風に抱き締められて……は、恥ずかしいの……」
アユナは顔を真っ赤にして俯いた。
「……」
キラーはアユナの様子を見て、ため息をついた。
「……可愛いこと言ってくれるな」
「え?」
アユナは真っ赤になった顔でキラーを見た。
「恋人だったら……抱き締めても、何してもいいんだな?」
キラーは真剣な声音でアユナに言った。
「!? そう言う意味じゃ……」
アユナは真っ赤になった顔を背けた。
「背けるな」
しかし、キラーはそんなアユナの顎に手を当て、顔を自分の方に向けさせた。
「アユナ……」
キラーは真っ直ぐアユナを見つめた。
「おれはずっと前から、アユナのことが……」