第33章 それぞれの想い
ーキラー……。
アユナは先程のことを思い出していた。
(きっと……みんな怒るよね……)
ーー本来ならば、敵であるキラーとこのように歩いていてはいけないはずだ。きっと、スレイジやトーダが怒るだろう。ましてや、ミーウが目覚めてないのだ。許されるはずがない。
2人が船を出てから、少し時間が経った。
「……ここら辺でいいか?」
船から西の方向へ少し歩いた浜辺でキラーは立ち止まり、アユナを振り返った。
「うん」
アユナは頷いて、キラーを見つめた。
キラーもアユナを見つめる。ーーアユナはいつも、腰の辺りまである長い黒髪を結ばないで流している。それは、幼い頃から変わらないことだった。目に入らないくらいに揃えられた前髪と長い後ろ髪が潮風に吹かれてなびいて、それがとても綺麗に見えた。それと共に、アユナの着ている白くて丈の長いワンピースもなびいた。
「アユナ」
キラーはそんなアユナを見ながら、口を開いた。
「よく……ここまで追い付いて来たな」
アユナは一瞬驚いた顔をして、それから笑った。
「ミーウのおかげでね」
アユナはキラーから目線を外して、海を見ながら答えた。ーー今尚、目覚めていない彼女のことを思いながら……。
「アユナ」