第33章 それぞれの想い
「怪我がないのは、ミーウが移し身をしてくれたからだ。本当はキッドはとても酷い怪我をしていた」
「移し身?」
「ああ」
「それは何ですか?」
船員はキラーに聞いた。
「移し身とは……傷付いた人の傷を自分に移して浄化するというものだ。おれも聞いたことはあったが、実際に見たのは初めてだ」
「え!? それじゃあ、頭の傷は……」
「……ミーウが請け負ってくれた」
船員たちは顔を見合わせた。
「キッドに傷がないのはそのおかげだ」
「……キラーさん、さっき頭は……酷い怪我をしていたと言いましたよね?」
「ああ」
「と言うことは……」
「おい、待てよ。冗談だろ? そんなこと有り得ねェ」
「だけどよ……」
「いや」
キラーは首を振った。
「キッドは……ミーウに負けたんだ」
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