第33章 それぞれの想い
キッドとキラーは自分たちの船に戻った。
船員たちはキラーの指示に従って、先に船に戻っていた。その後、食堂にて2人の帰りを待っていたのだ。
「頭、お疲れ様です」
「あァ」
キッドは船員たちの顔も見ずに、自室に向かった。
「……」
空気が一瞬、重くなった。
船員たちは自分たちの船長の様子を見て、明らかに何かあったことを察した。そして、キラーを見た。
「……キラーさん、頭……どうしたんですか?」
「見たところ、怪我も見当たらないし……キルリレに勝ったように見えますが……」
「何であんなに……落ち込んでると言うか……暗いんですか……?」
キラーはため息をついた。
「……知りたいか?」
「もちろんですよ!」
「おれらの船長があんな風になってんですから、当然です!」
船員たちは真剣な面持ちで言った。
「……そうか」
キラーは船員たちを見回して、部屋に戻ったキッドのことを思った。
(キッド……)
ーよかったな。こんなに心配してくれるやつらがいてくれて……。
キラーは仮面の奥で目を細めた。
「……さっき誰かが……怪我も見当たらないし、勝ったように見える……と言ったな?」
「はい」
その言葉を口にした船員が頷いた。