第32章 戦いの果てに
「ス、レイジ……」
ミーウは閉じていた目をゆっくり開けた。少しだけ開かれた目にスレイジの姿を映してから、少し苦しそうに呼吸をした。
「ミーウ!」
ー……おれが近くにいなかったから……。
スレイジは悔しそうな顔をした。
「……そんな顔しないで……大丈夫だよ……わたしは……」
「どこをどう見たら大丈夫になるんだ! 馬鹿野郎!」
ー無茶ばっかりしやがって……。
そう言って、スレイジは唇を噛んだ。
「っ、う、何だ? 何が……」
その時、キッドが起き上がった。
スレイジはミーウを自分の服で包んでから、片腕で抱き上げて、キッドを睨んだ。そして、そのままキッドに歩み寄った。
「おい! ユースタス! てめェ、ミーウに何して……」
「……スレイジ!」
スレイジがキッドを殴ろうとした時、ミーウが抱き上げられたまま、スレイジの手を掴んだ。
「ミーウ! 何するんだ! 無茶するな!」
「だったら、キッドを殴らないで……。これはわたしが勝手にやったことなの。キッドは悪くない……。お願い、スレイジ」
「……」
スレイジはキッドを睨んでから、ミーウをお姫様抱っこにして、船に戻ろうとした。が……。
「おい!」
キッドがスレイジを呼び止めた。
「……何だ?」