第32章 戦いの果てに
ーわたしはあなたのためにこれを使う。だから……。
「絶対に……命を無駄にしないでね」
(わたしがここまでしたのに、〈偉大なる航路〉なんかで死んだら……許さないから)
ミーウは少し悲しそうに笑った。
ーおばあ様、わたしに……移し身を教えてください。
ー移し身?
これを教えてもらったのは、ミーウが9歳の時。キッドたちと約束をして、もっと強くなりたい……みんなの役に立ちたいと思った時だった。
ー……わかったわ。教えます。だけどね、ミーウ。この技はあなたが本当にこの人を死なせたくない、助けたいと思った人にしか使ってはいけないの。いいわね?
ーうん、わかったよ。おばあ様。
「我が身は我にあらず」
ーあなたが受けた傷は……。
「全ての禍こと禍ものを引き受ける」
ー全部わたしが引き受けるから……。
「癒しの門……!」
ーだから、キッド……。
(死なないで)
「移し身」
ミーウはそう言った途端、キッドの横に倒れた。
「ミーウ!」
その時、ちょうどその場に到着したスレイジがミーウのところに行って、ミーウを抱き寄せた。ーーミーウの体はさっきとは打って変わって、傷だらけになっていた。ーーまるで、2人分の傷を受けたかのように……。
「ミーウ! しっかりしろ! ミーウ!」