第32章 戦いの果てに
スレイジは冷たい目をキッドに向けた。
「何で……ミーウが……そんなに傷付いてるんだ?」
「……誰のせいだと思ってやがるんだ! てめェ!」
スレイジはキッドを睨んだ。ーー今までにないくらいに強く。
「ふざけるのもいい加減に……」
「スレイジ……」
ミーウは息を荒くしながら、スレイジを呼んだ。
「さっきも言ったでしょ……? これは……わたしが望んでやったことだから……」
「ミーウ……」
「だから……やめて。ね?」
「……」
スレイジは目を細めて、ミーウを見た。
「……わかった」
ミーウは笑って、そのまま目を閉じた。
「……おい」
スレイジはミーウをお姫様抱っこしたまま、顔だけキッドの方に向けた。
「今回だけは何もしないでいてやる。だけど……」
スレイジはキッドを睨んだ。
「次、てめェがミーウを傷付けて無理させたら、おれがてめェをぶっ倒す! 覚えておけよ。ユースタス・キッド!」
そう言うと、スレイジは後ろを向いて、ずっと後ろにいたアユナとミシュラとケイトのところへ行った。そして、そのまま4人と1匹はミシュラの瞬間移動で船へと戻って行った。
「……」
キッドは4人と1匹がいなくなってからも、ずっとそこにいた。ーー雨はどんどん強くなる。
「……キッド」
その光景をずっと見ていたキラーはキッドに呼びかけた。