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【ONE PIECE】罪を抱く紅い目をした白き竜

第32章 戦いの果てに


 そこに立っていたのはアユナだった。
「ケイト、大丈夫だよ」
 アユナは優しく笑った。ーーケイトの心の中にある闇を消すように。ミーウがケイトにするように。
(わたしには……ミーウみたいな“力”はない)
 ーでも……。
(わたしは“水巫女”……)
 ー“水巫女”の島に生まれた、運命を背負った女……。
(わたしの役目は……)
 ーみんなの傷を癒すこと。ーー体だけではなく、心の傷も。
「……」
  ケイトは固まったまま動かない。
「大丈夫。大丈夫だから、ケイト。ね?」
 アユナはゆっくり……本当にゆっくりと少しずつケイトに近付いた。
 ケイトはアユナの方へ体を向けた。
「大丈夫だから……」
 ーだから、帰ろう。ケイト。
 アユナがそう言った瞬間、ケイトの体は風に包まれ、風が弾けたのと同時に元の姿に戻った。
「ア、ユナ……」
「ケイト、大丈夫?」
 アユナはケイトに近付いた。
「……アユナ、わたしは……」
「大丈夫。何もしてないから」
 アユナは笑った。
「誰も殺してないから……大丈夫だよ」
「……そうか」
「うん」
 ケイトはふと後ろを振り向き、ワイヤーを見た。
「?」
 ワイヤーはケイトを見上げた。
「……すまなかった」
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