第32章 戦いの果てに
「……しまった!」
ワイヤーは剣を拾おうとしたが、ケイトはワイヤーに隙ができたのを感じたのか感じてないのかわからないが、ワイヤーに体当たりをした。
「グハッ!」
ドーン!
ワイヤーはまた近くにあった建物に背中から激突した。
ワイヤーは起き上がった。しかし……。
「……っ! うっ……」
スフィンクスの姿のケイトに傷ができてしまっている右肩を前足で押されて、痛みのあまりに再び起き上がることができなくなってしまった。
「……」
ーもう、ダメなのか……? おれはここで……死ぬのか? 頭が海賊王になった姿を見ることなく、こんなちっぽけな海で……死んでしまうのか?
ケイトはワイヤーを押さえていないもう片方の腕を高々と振り上げた。爪がギラギラと光り輝いている。
ワイヤーは目を瞑った。
ー覚悟はできた。この海に出た時から、頭に命を渡すと誓ったのだから……。
「殺るなら……殺れ」
ーお前が気の済むように……。
ワイヤーの覚悟が固まった、その時……。
「ケイト! やめて!」
ケイトが腕を振り下ろそうとした瞬間、ケイトの後ろから声が聞こえた。
その声を聞いた瞬間、ケイトは動きを止めた。
「?」
ワイヤーは目を開けた。そして、声のした方を見た。
「あいつ……」
(……確か、キラーさんと最初に話していた女……)