第31章 再会と敵

　ヒートは戦闘体勢に入って、キラーが動くのを待っている。ーーキッド海賊団ではキッドかキラーが戦いを始めない限り、勝手な戦闘をしてはいけないという決まりがあるのだ。ーー時と場合によるが。
　ワイヤーは背中の鞘から剣を抜いた。
　他の者たちは後ろに下がっている。
「キッドとミーウみたいに1対1で戦うのはどうだ？　水神海賊団」
　キラーは戦闘体勢をとったまま、スレイジたちに聞いた。
　スレイジは後ろにいるアユナに目配せをした。ーーミーウがいない今、戦闘に関する許可を与えるのはアユナの役目だ。
　アユナは頷いた。ーーミーウとキッドが戦っている以上、キラーたちと戦うことを拒むことはできなかった。
　それを見て、スレイジはキラーに向き直った。
「いいだろう。1対1でやってやる」
「随分、上から目線なんだな。カファイナ・スレイジ。いや、“雷剣”と呼んだ方がいいか」
　スレイジは目を細めた。
「そう言うお前もな。“殺戮武人”！」
　スレイジは〈雷神〉をキラーに構えた。
「お前の相手はおれがやってやる！」
「挑むところだ！」
　トーダはそれを横目に見ながら、ヒートとワイヤーを見つめた。
「おれの相手はどっちがしてくれるんだ？」
「おれがやろう」