第4章 すれ違う心
クザンがそう思っていると、メアリーが振り返った。
「クザン」
メアリーはクザンの名前をはっきりと、凛々しい姿で呼んだ。
「何ですか?」
「いつもみたいに、ミーウとアユナをお願いしてもいい?」
メアリーは月の光を後ろに浴びながら、クザンにお願いした。ーー月の光を纏っているメアリーは普段よりも美しく見えた。
「はい、もちろんです」
クザンは恭しく一礼した。
「ありがとう」
メアリーは微笑んだ。
「……」
(たとえ……)
ーーお前があいつのことが好きで……そして、たとえあいつとの間に子どもがいたとしても……。
(おれはお前のことが好きだ)
クザンはもう一度メアリーを見てから微笑んだ。
「……それじゃあ、行って来ます」
「クザン、お願いね」
クザンはメアリーを見て、優しく笑った。
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