第4章 すれ違う心
そんな2人の様子を女王とクザンは城の中の女王の部屋にある大きな窓から見ていた。
「2人のことは止めなくていいのですか?」
クザンは女王の少し後ろから声を掛けた。
「ええ、いいの」
女王は穏やかな表情を浮かべている。
「2人が海賊になってもいいのですか?」
「いいの。可愛い子には旅をさせろってよく言うでしょ?」
女王はそれぞれの目的の場所へと歩いて行く2人を見つめた。
「早いわねー。もうすぐ、17年か……」
女王は視線を窓の外に広がっている夜空に浮かんでいる月に移してぽつりと言った。
「……女王陛下とあいつが出会った時からですか?」
クザンは少し不機嫌になって女王から視線を逸らし、わざとぶっきらぼうに言った。
「ええ。あー、でも……少し違うかな。わたしはあの人と、その数年前に会っているもの」
女王は懐かしそうに目を細めた。
「……」
クザンは女王の後ろ姿を見つめた。
(もし、あの時……)
ーーメアリーがあいつと出会うことがなかったら……いや、もしおれがもっと早くメアリーに気持ちを伝えていたなら……。
(おれがこいつの横にいられたのだろうか?)