第15章 船大工を探せ
スレイジは食パンを口に運んだ。
「おれもこれ食べ終わったら、ミーウと船大工を探しに行くか……」
「スレイジも一緒に探してくれるの?」
「当たり前だろ?」
口に入った食パンを飲み込んで、スレイジは口を開いた。
「船長の願いを叶えるのが船員の役目だ」
「……そうね」
アユナはにこりと微笑んだ。
「……お前ら、まだ諦めてなかったのか?」
アユナとスレイジはいきなり聞こえた声にびっくりして、アユナは手のひらに水の塊を出現させ、スレイジは刀に手をかけた。
「ああ、驚かせてすまなかった。おれだ」
そこにいたのは昨日、船を見に来たクユンだった。
「なんだ、お前か。何の用だ?」
「なんだってなんだ……。まあ、いい。昨日のお嬢ちゃんはどこ行ったんだ?」
クユンはキョロキョロと辺りを見ている。
「ミーウのことか? ミーウなら、街に行って船大工を探しに行ったが……」
「あー……そうか……」
クユンは顎に手を当てて少し考えた。
「まあ、ここで待ってたら戻って来るだろ」
クユンはスレイジの隣の椅子へと腰を下ろした。
「しばらくの間、お邪魔してもいいか?」
「……聞く前にそのつもりなんだろ……」
スレイジは机に肘をついた。いつの間にか、食パンがあった皿は空になっていた。