第15章 船大工を探せ
「定期的にメンテナンスをしていたとは言え……10年もの間、毎月使われていて……その上、長年放置されてたら船だって朽ち果てる」
「……」
「その10年の間、結構無茶な航海をしてたんじゃないか?」
「……」
ーしてた。ーーミーウの祖母のシェルミーは旅行が好きで、よく〈偉大なる航路〉に行っていた。その度に、〈凪の帯(カームベルト)〉を通って、海王類たちを倒しながら進んでいたと聞いている。
「……メンテナンスをしていても……ダメなの?」
ーーこの船を見ていたのはミーウたち天竜人の専属船大工だったはずだ。しかも、超一流の。そんじょそこらの船大工とは訳が違う。
「メンテナンスをしたとしても、老朽化を完全に防ぐことは難しい。木は年月とともに痛む。そして、年を取ったものはいきなり動かすと壊れてしまう。……きっと、タイミングが悪かったんだろう」
クユンは部屋を立ち去ろうとした。
「お前らがどこに行くつもりかは知らないが……」
扉の前で振り返り、ミーウの方を見た。
「この船は……もう、保たない」
「!?」
「他の船を探すことをオススメするよ」
クユンは前を向いて、歩き出そうとした。しかし……。
「ま、待って!?」
ミーウはクユンの手を掴んだ。
「どうしても……直らないの?」