第14章 君の温もり
「……ミーウ、どうしたの?」
アユナに聞かれ、ミーウはアユナを振り返った。
「ねえ、アユナ」
ミーウはアユナの黒い瞳を見つめた。
「何で……わたしの目は紅いんだろうね……」
ミーウは泣きそうな顔をした。
「何で、わたしにはアザがあるんだろうね……」
ミーウは震える声を振り絞って、アユナに言った。
「わたし、自由になりたいよ……」
「……」
アユナは唇を噛んで、ミーウを見つめた。
「富なんていらない。名声なんかなくていい。だけど……自由が欲しい……」
ミーウは床に座って、体育座りをした。
「こんな汚れた紅い目なんていらない。こんなアザなんていらない。……天竜人の証なんて何もいらない」
アユナは黙ったまま、ミーウを見つめ続けた。
「だって……」
ミーウは体育座りをした足に顔を埋めた。
「わたしの目とアザの色は……血の色だもん……」
「……」
アユナは悲しそうに目を細めた。
「血に染まった紅だもん……」
ー遠い昔にかけられた呪いの色。天竜人の罪を忘れさせないための色。
「なのに、何で……」
ーどうして……。
「こんなわたしに……アユナもミシュラもスレイジも……どうして優しいの?」