第14章 君の温もり
「あー、いいお湯だったー!」
アユナは髪の毛と体をしっかり拭いてから寝間着を着て、ドライヤーで長い髪の毛を乾かし、脱衣場を出て、今に至っている。
「……?」
アユナはふと、ある部屋から微かな“気”を感じ、その方向を見た。ーーアユナはミーウのように“覇王色”の覇気は使えないが、“武装色”の覇気と“見聞色”の覇気が使えた。どちらもミーウには敵わなかったが、“見聞色”の覇気の中で1つだけミーウに勝てる能力があった。ーーそれは人の感情の“気”を読み取る能力だ。オーラや雰囲気で微妙に変わる人の感情を、アユナは正確に読み取ることができた。だが、普段は人の感情を漁るようなことを嫌っているため、意図的には能力を発動させないようにしていた。ーー極たまに空気中の僅かな水分を伝い、人の感情を無意識に感じる時はあるが……。
「……ミーウ?」
ーーその僅かな“気”はミーウのものだった。
「……」
アユナはミーウの部屋の前に来た。そして、ドアをノックした。
「ミーウ、入るよ?」
アユナは中にいるであろうミーウに声をかけて、部屋の中に入った。
そこには、部屋の大きな窓に肘をついて、海を見ているミーウがいた。