第14章 君の温もり
ミーウの左腕の肘に近いところにミーウの瞳と同じ紅く、拳程の大きさのアザがある。そのアザは“天翔る竜のアザ”と言われている。ーーそれは“伝説の天竜人”にしかない特別なアザだ。
ミーウはため息をついて、髪を結んでいたゴムを取った。その後、軽く髪の毛をとき、お風呂場の扉を開けようとした。
ガチャッ
「さて、風呂入、る、か……」
ミーウは突然入って来た青年を振り返った。
「ス、レイ、ジ?」
「ミー、ウ……って!」
ミーウとスレイジはお互いに状況を理解した。
「ッ! キャ、キャーーーーー!!!!!」
ミーウは咄嗟に左腕のアザを隠して、しゃがんで叫んだ。
「っ、す、すまねェ!」
スレイジは顔を真っ赤にしながらも急いで脱衣室から出たが、その際動揺のし過ぎで扉に頭を激突させた。
「ッ、痛ェ」
スレイジは外に出て、扉を閉めるとその扉にもたれながら座った。
「はァ」
スレイジはため息をついて、額を押さえた。
(ヤベェ)
スレイジは頭を振った。
(ミーウが頭から離れねェ)
スレイジは目を閉じた。だが……。
「あーーー!!!」
スレイジは髪の毛がグチャグチャになるのもかまわずに頭を掻いた。
(ふざけるな! 消えろ! 消えろよ!)