第11章 悪夢、再来
セメイに状況を伝えたスレイジは急いで、島のみんながいる集落へと走っていた。その途中で、何人もの子どもや女性、老人たちとすれ違った。
(みんな、言われた通り避難しているな)
スレイジが集落に着くと、そこに残っているのはほとんど男たちだけとなっていた。
「あと避難していないのは?」
「ジェスのじいさんとチールのとこの家族だけだ。もう、家を出てセメイ様のとこへ向かってるはずだ」
「わかった」
スレイジは集落の見張り台に登っている見張り2人に聞いた。
「ムル! ロフ! 海賊は今どこだ!」
「まだ島から少し離れた沖にいる!」
「そうか!」
(まだ、上陸までには時間があるな)
スレイジは後ろにいる男たちを振り向いた。
「全員、武器の準備をしろ! 恐らく、この島に上陸する! みんな! 戦うぞ!」
「おー!」
男たちは皆、武器を手に取った。
「ん? おい! スレイジ!」
見張り台にいたロフが大声でスレイジを呼んだ。
「どうした!? 何かあったか!?」
スレイジは見張り台を見上げた。2人の様子がおかしい。
「あの船は……2年前にこの島に来た、オルド海賊団だ!」
「何だと!?」
(あの海賊団が……また、この島に……)