第11章 悪夢、再来
スレイジは歯軋りを立てた。
「奴らはまた、この島を燃やし尽くすつもりだ! 2年前とは違う! みんな、怖気つくな!」
「おう!」
島の住民たちは武器を掲げた。
「スレイジ!」
見張り台からロフの声が響き渡る。
「奴らは今、島から少し離れた場所にいる! あの距離なら、矢が届くはずだ! どうする!?」
「……」
スレイジは黙って、海の方を見た。
「スレイジ」
後ろからアレスが声を掛ける。
「いや……」
スレイジは顔を見張り台の方へ向けた。
「まだ弓矢は使わない! 確実に当たる距離から放つ!」
「わかった!」
ロフは頷いた。
「アレス」
「何だ?」
刀を腰に携えて、腕を組んでいるアレスはスレイジの背中を見た。スレイジは後ろを振り向いた。
「おれが死んだら……この島を頼む」
「!? スレイジ……」
「スレイジ!」
アレスが言葉を紡ぐよりも先に、見張り台からムルがスレイジを呼んだ。
「今、奴らが島の海岸に着いた! これから、こっちに向かって来るはずだ!」
「わかった! ありがとうな! 2人はそのまま、そこにいてくれ!」
スレイジは2人に指示を出して、集落を出ようとした。
「おい、スレイジ!」