第11章 悪夢、再来
ミーウがスレイジのお手伝いを始めてから、スレイジはミーウに対して心を打ち開け始めていた。
「でも、スレイジはそんな技術なくても、十分強いと思うけど」
「……お前、おちょくってんのか?」
「褒めてるんだけど」
2人は昨日と同じように、笑って話していた。ーーそこまでは、昨日と同じだった。
「スレイジ!」
まだ朝の8時だと言うのに、血相を変えたアレスがスレイジを走って呼びに来た。
「どうした? アレス。何か……」
「今すぐ、戦いの準備をしろ!」
顔を真っ青にさせたアレスがスレイジの肩を掴む。
「海賊が……この島に来た!」
「何だと!?」
その言葉にミーウも驚いて、目を丸くした。
「島の見張り台から海を見ていたムルが見つけたんだ! こっちに向かって来ている! しかも、大型の海賊船だ!」
「クソッ!」
スレイジは舌打ちをした。
「子ども、女、老人をこの家に集めろ! おれもすぐに行く! おじいにはおれから伝えとく!」
「頼んだぞ!」
アレスはそう言うと、村の方へと走って戻った。
スレイジは後ろを振り返った。
「ミーウ、お前もここにいろ」
「何言ってるのよ! わたしも戦うわ!」
ミーウは胸に手を当てて、スレイジに言った。
「この島の住人じゃないお前を巻き込みたくない」