第10章 あなたのためなら
「ほう……あの事件の裏でそんなことがあったとはな」
キラーは仮面の奥で感心した。
「そういや、お前とアユナには詳しく話してなかったな」
キラーとアユナは街の地下に逃げていたので、その時の状況を詳しく知らないのだ。
「今思うと……懸賞金がかけられた海賊相手に、ただの子どもがよく勝てたな」
「……確かにな……」
ーー相手は懸賞金1000万ベリーの海賊だった。その海賊に13歳の少女と悪魔の実の能力を得たばかりの17歳の少年が勝てたことは、今思えば不思議な話だった。
「まァ、細かいことはどうでもいいだろ」
「……そうだが……」
キラーは少し引っかかった様子でいた。
「今考えると……」
キッドはビブルカードのネックレスを手のひらに乗せて見つめた。
「おれが強くなれたのは……ミーウのおかげなのかもな……」
「……」
キラーは少し寂しげなキッドの顔を見ながら、仮面の奥で目を細めた。
(そうかもな……)
ーーミーウと出会ってから、キッドは劇的に変わった。人を信用するようになり、自暴自棄な態度から前を向くようになった。
(……もしかして……)
ーキッドは……。
「……なあ、キッド」
「なんだ」