第10章 あなたのためなら
街の人たちはキッドたちのことをほかって、勝手に宴の準備を始めてしまった。
「……なんなんだ……」
キッドはため息をついた。
「キッド」
「ん?」
キッドはミーウを振り返った。
「わたしも……強くなるから」
「……あ?」
キッドは目を見開いて、口をポカーンと開けた。
「わたしも……もっともっと強くなって、キッドに心配させないようにするから」
ミーウは左腕を握りしめた。
「そうじゃなきゃ、前向いて戦えないでしょ? 船長」
「……そうだな」
キッドはふっと優しく笑った。
「とりあえず、キッドには負けないように特訓しないとな〜」
「なんだと?」
「なによ」
2人の会話はピリピリしているように聞こえるが、表情はとても穏やかだった。
「さて、おれたちも宴に参加するか」
「ふふ、そうね。何食べる?」
「そうだな……やっぱ、ロールキャベツだな」
2人は笑顔で喋りながら、人々の集まる方へ向かった。
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