第10章 あなたのためなら
「キャ、キャー!」
「ミーウ!」
ミーウが座っていた板が割れて、海に放り出されそうになった。その時……。
「お嬢ちゃん、大丈夫かい?」
海に入るギリギリで誰かがミーウを助けた。
「あ、ありが……」
ミーウは助けてくれた人にお礼を言おうとしたが、その顔を見て固まった。
「ク、クザン!?」
「無事で何よりだ。怪我はないか?」
クザンは背中に氷の羽を生やして飛んでいる。
「あるわよ! あ、それよりもキッドが……」
「キッド?」
ミーウは船にまだ残っているキッドを見た。
「キッドがまだ船にいるの。クザン、助けて」
「わかった。背中にお前を乗せる。ちゃんと掴まっとけよ」
クザンはそう言って、ミーウを背中に乗せた。そのまま一気に船まで降下し、キッドを拾い上げた。
「キッド!」
「ミーウ。大丈夫か?」
「うん!」
「よかった」
キッドはホッとした様子で笑った。
「おい、坊主」
そんなキッドにクザンが声をかけた。
「ん? 何だ? 海軍大将」
キッドは少し嫌そうな顔をしてクザンを見た。
「よくお嬢ちゃんを守ってくれたな。立派だぞ」
クザンはそう言って微笑んだ。
「べ、別に、褒められるようなことしてねェよ」
キッドは照れて顔を赤くした。
「ふふ。キッド」
「な、なんだよ」