第10章 あなたのためなら
「やられるのはお前だ! アルファ!」
キッドはそう叫んだ。
「バカなことを」
(まだ悪魔の実を使いこなせていないガキが……)
心の中で思い、アルファは自分が飛び上がっている下の甲板を見た。ーーそこには大きな陰ができていた。
「……バカな……」
(そんな……こんな短時間で……)
キッドの頭上には、大きな武器の塊が浮かんでいた。
「残念ね、アルファ。どうやらキッドが食べた悪魔の実の能力は使いこなしやすいものだったみたいよ?」
ミーウはニッと笑った。それと同時に、アルファのいるところまで飛び上がった。手には氷刀が握られている。
「氷刀 半月切り」
ミーウはアルファを斬った。だが、血は出ていない。峰打ちだ。
「カハッ」
アルファはお腹を押さえた。
「とどめだ!」
キッドはアルファに武器の塊を落とした。
ドゴーン!
アルファに落とされた武器の塊がそのまま海賊船にもぶつかった。その衝撃で、船が2つに分かれてしまった。
「ヤベッ!?」
「何してるの!? キッド!?」
着地したミーウは見事にバランスを崩してしまい、甲板にいたキッドも揺れのせいで尻もちをついてしまった。
「どうするんだ! おれは泳げねェぞ!」
「わたしも泳げないわよ! もう少し手加減して攻撃してよ!」
「食べたばっかで使いこなせていない能力者に、そんな言い方しなくてもいいだろ!?」
そんな言い合いをしている間にも、船はどんどん沈んでいく。