第2章 幼き日の約束
「ない」
「わたしも」
「特には」
キッドはその答えを聞いて、呆れた表情をした。
「つまんねェな。本当にねェのかよ」
「そういうキッドはあるの?」
ミーウは上体を起こしてちょっとムッとした様子で、寝転んでいるキッドの目をじっと見つめて言った。
「あるぜ」
キッドは勢いをつけて上体を起こし、自慢気に笑った。
「おれの夢は海賊になって、〈ひとつなぎの大秘宝〉を手に入れることだ!」
キッドは自信に溢れた顔で笑った。
「〈ひとつなぎの……」
「大秘宝〉……」
アユナとキラーは驚きのあまり、ぽつりぽつりとキッドの言った言葉を繰り返した。
「おう!」
キッドは歯を見せてニッと笑う。
「G・ロジャーみたいになるんだ!」
「G……」
「ロジャー……」
アユナとキラーは驚いた。
ーー〈ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)〉、それは……富、名声、力。かつて、この世の全てを手に入れた男、G・ロジャー。彼は史上、ただ1人、4つの大洋をまたぐ〈偉大なる航路(グランドライン)〉を制し、海賊王と呼ばれた男である。そして、〈ひとつなぎの大秘宝〉は彼の残した財宝だ。ーーそれを見つけるということは世界中のどの海賊よりも、とても過酷で厳しい旅をしなくてはならないということだ。それを知っていたから、アユナとキラーは驚いていたのだ。だが、キッドを止めようとは思わなかった。彼の夢を邪魔したくないからだ。
ただ1人、ミーウだけは少し違った。