第10章 あなたのためなら
ーー悪魔の実とは、“海の悪魔の化身”と言われる果実で、食べた者は特殊な能力が身に付く。この果実を食べた者を人々は“能力者”と呼ぶ。また、“海の悪魔の化身”である悪魔の実を口にした者は海に嫌われ、一生カナヅチになってしまう。つまり、泳げなくなってしまうのだ。
(キッドを能力者にしてはいけない)
ーーもし仮に自然系ならば、ミーウとキッドにとって、とても有利な展開へと物事が運び、助かる可能性が高くなる。だが、もし動物系ならば、キッドが何かの動物になった時に暴れ出し、ミーウ自身の身も危うくなる可能性がある。
(一口でも食べたら……)
ーその時点でアウトだ。
ーー悪魔の実を一口でもかじると、その時点で食べた者に能力が発現し、残りの実はただの果実となる。すなわち、1つの実から複数の能力者が誕生することはない。その絶大な効力と希少さから、売れば1億ベリーは下らない値がつく。
「うるせェ! お前に食わせると、兄貴に怒られそうだからやめてやってるのにその言い方はなんだ!」
部下たちはやめるように必死で叫んでいるミーウの口を大きな手で塞いだ。
「うっうー!」
ミーウは必死に叫んでいるが、言葉にできない。
部下たちはそんなミーウのことを見て、愉快そうに大声で笑った。