第10章 あなたのためなら
アルファは目を細めてミーウを見た。
「……お前……名前は?」
「……ミーウ。キルリレ・ミーウよ」
「キルリレ……」
アルファは少し驚いたように目を開いて、もたれていた木から退いた。
「……キルリレ。なぜ、今回おれらがこの島に来たか……わかるか?」
ミーウは眉を寄せて、アルファの次の言葉を待つ。
キッドは2人の会話をミーウの隣で黙って聞いている。
「……この島にいる天竜人を……殺すためだ」
そう言った瞬間、アルファは地を蹴りミーウを突き飛ばした。
「っ……!」
「ミーウ! 野郎……」
キッドはアルファを殴ろうとしたが、簡単にかわされてしまう。
「……ミーウ、逃げろ!」
ミーウは起き上がった。
「逃げれるわけないでしょ! バカ!」
キッドに向かって叫んでから、ミーウは懸命に頭を動かして考えた。
(どうしたら……)
ーどうしたらいいの?
キッドがいなければ、自分の実力を遺憾なく発揮することができる。だが、キッドがいる以上、自分の実力を発揮すると、どうしてそんなに強いのか怪しまれるため何もできない。
(このままじゃ……2人とも殺られる……)
ミーウは唇を噛み締めた。
「お手上げか? キルリレ」
アルファは勝ち誇ったように笑った。
「……」
(この人……)
ー絶対、わたしの正体を知っている。ーーどうやって手に入れたかはわからないが、“キルリレ”という名前が伝説の天竜人の証であるという情報を持っている。