第10章 あなたのためなら
ミーウは森の中をひたすら走っていた。
「ハァ……ハァ……」
ミーウはある所まで来て足を止めた。そこには小さな泉があった。この泉は竜国島の地下から湧いて出た自然の泉だった。ーーミーウは嫌なことがあると、必ずこの場所に来た。
「……」
泉のほとりに体育座りをして、ミーウは顔を足に埋めた。
「……」
ミーウの脳裏を横切ったのは3年前の出来事だった。ーーそれはミーウにとって、思い出したくない記憶だった。
「……」
(わたしだって……)
「好きで女に生まれたわけじゃない……」
ミーウは少し顔を上げた。
ーキラーは何もわかっていない。この世界で生まれ育った女がどれほど惨めなのか。強い男たちの中で生きている女がどんな想いをして生きているのか……。
「……」
ミーウはため息をついた。その直後……。
ドッカーン!
「!?」
ミーウは思わず立ち上がった。
「何!?」
辺りをキョロキョロ見回しても、周りには木しかない。
「……」
ミーウは目を閉じて、静かに“見聞色”の覇気を使った。
「……これは……」
ミーウの周りを風が覆ったかと思うと、スッと消えてしまい、それと同時にミーウは目を開けた。
「……海賊船……」
ミーウの脳裏に映ったのは一隻の海賊船がこの島に向かって、大砲を撃ってきた映像だった。