第10章 あなたのためなら
「だから、ミーウ!」
「わかってるから黙っててよ! わたしだって……わたしだって、好きで女に生まれて来たわけじゃない!」
そう大きな声でアユナに言うと、ミーウは森の方へ走って行ってしまった。
「ミーウ!」
アユナが叫んだ時……。
ドッカーン!
「!?」
港の方角から、大きな爆発音が聞こえた。3人は一斉に港の方を見た。
「……あれは……」
アユナが呆然と見ている船をキラーは前髪越しに見て呟いた。
「……海賊船だ」
アユナはさっと背筋が凍りついた感覚に襲われた。
「……ミーウが……」
アユナは森を振り返った。ーー森は港から近いところに位置している。
「ミーウに知らせて……早く逃げないと……」
アユナが森へ行こうとするのをキラーが止めた。
「お前は行くな。おれが……」
「いや……」
キッドが2人の前に立った。
「おれが行く」
キラーは驚いた顔をしてから、ひどく怒った様子でキッドを叱った。
「お前は何を……」
「おれがミーウを連れて来る。おれは……」
キッドはキラーを真っ直ぐ見据えた。
「おれは……あいつの乗る船の船長だ」
「……」
キラーは黙って、キッドの赤い瞳を見つめた。そして、観念したようにため息をついた。
「……早く戻って来い。おれとアユナは先に街の避難所に行く。……すぐにミーウを見つけて連れて来い! 船長(キャプテン)!」
「あァ」