第10章 あなたのためなら
海軍駐屯所で騒ぎが起こった頃も、ミーウはキッドにくっついて離れないでいた。
「ミーウ! いい加減にしろ!」
「やだ! キッドの機嫌がなおるまで、このままでいるもん!」
「機嫌がなおるまでって……あのな! お前らのせいでおれが機嫌悪くなったんだろ!」
ギャーギャーワーワーと2人はまだ喧嘩をしていた。遠目から見たら、カップルのイチャつきにしか見えないが……2人はお互い、何も思っていなかった。
「キッド、ミーウ、そこまでだ」
そろそろ頃合いだと思ったキラーが2人を止めに入った。
「キッド、いつまで拗ねてるつもりだ。もう、17歳だろ?」
「う……」
キッドはキラーに指摘されて押し黙った。
「ミーウも。いつまでキッドにくっついて、ギャーギャー騒いでいるんだ。ミーウは女という自覚をもう少し持った方がいい」
「……」
ミーウはそれを聞いて、黙って俯いた。
「それと、おれとキッドは男だってことも認識した方がいい」
「……」
ミーウは黙ったまま、顔を上げようとしない。
「そうよ、ミーウ。もう、大人なんだし……」
「わかってる」
ミーウはただならぬ負のオーラを纏わせている。
「ミーウ……わたしが言いたいのは……」
「わかってるよ。自分が女だってことは嫌でもわかってる」