第10章 あなたのためなら
「おい、キッド。ミーウの言う通りだぞ。そんなことで拗ねてて、この世界で1番強くなれるのか?」
「そうよ。そんなんでいいの?」
アユナとキラーまでキッドをからかい始めた。
「な、なんなんだよ……。お前らみんな揃いも揃って、おれをからかって……そんなに楽しいかよ!」
そう叫ぶと、キッドは黙り込んでしまった。
「おい、キッド。悪かった。少し言い過ぎた」
「キッド、ごめんね。少しからかっただけよ」
「そんなことで拗ねないでよ……」
本格的に拗ねてしまったキッドには3人の言葉など耳に入らない。
困ってしまった3人は顔を見合わせた。
「……」
ミーウはキッドの少し寂しそうな背中を見て抱き付いた。
「お、おい! ミーウ!」
「あ、やっと口開いてくれた」
ミーウはキッドに後ろから抱き付いたまま、嬉しそうに笑った。
「な、何でもいいから離れろ!」
「何で?」
「何でって……」
キッドはミーウに聞き返されてまた黙ってしまった。
「何で離れないといけないの?」
「あ、あのな!」
キッドは顔を真っ赤にした。
(胸が当たるからに決まってんだろ……馬鹿野郎……)
ーー13歳とは言え、少しずつ大きくなってきたミーウの胸が当たるのはキッドにとって、あまりにも刺激の強いものだった。
「な、何でもいいからさっさと離れろ!」
「やなこった。理由もないのに離れないよーだ」