第9章 海賊王の誓い
スレイジは目を細めて、ミーウを見ていたが、やがて、ゆっくりと口を開いて聞いた。
「……そいつは……どんな奴だったんだ?」
ー自分よりも圧倒的な強さを持つミーウと関わりのある人間。見たことはないが、おそらくミーウたちと同じ海賊であろう。ーーそれはミーウの言葉から推測することができた。ーーだが……海賊であるならば、なぜミーウたちを一緒に連れて行かなかったのか。ーーミーウは強い。そして、頭も良くて、勘もいい。アユナだってそうだ。しかも、気配りもできるし、交渉も上手だろう。そんな2人を連れて行かなかったのは……。
「あの人は……」
ミーウは目を細めて海を見つめた。ーーとても切なさそうに。
1週間前まで、まだ自分たちがいた島の情景が脳裏に浮かんで消える。初めて会った時。喧嘩した時。遊んだ記憶。自分が危険な目にあった時。交わした会話。一緒に行ったトレーニング。大楠での約束。
彼は。
「……とても、優しくて……。とても、あたたかくて、とても……強くて」
知らなかったとは言え、天竜人の自分に声をかけてくれて、しかも一緒に遊んでくれた。その後もずっと。
自分とアユナを一緒に海に連れて行かなかったのは……キッドの優しさからだとミーウは知っていた。
ー彼はいつも、自分たちのために行動してくれた。