第9章 海賊王の誓い
いろいろなことがあって、辛くてどうしようもなかった時に、キッドと一緒に遊んだり話したりすることで少しの間だけでも笑うことができた。
どんな時でもあたたかく包み込んでくれた。
ー彼の心があたたかかったから、ずっと彼と一緒にいたいと思えた。
強くて……自分のすること1つ1つに自信が持てて、責任が持てて……自意識過剰って言われるかもしれないけど、彼はちゃんと言ったことを成し遂げることができる“漢”だったから、アユナもキラーも……もちろん、ミーウも誰も文句は言わなかった。ーーキッドのことを信じることができたから。
それに……いつもあの自信に溢れた笑顔で笑うキッドが大好きだった。
「……」
口を開きかけて、ミーウはふいに胸が痛んだ。
昔、ミーウが危険な目にあった時に見せた彼の顔。そして。
自分たちを連れて行かないと言った時の彼の様子。ーーきっと最後の最後まで悩んだのだろう。最後に大楠の下に4人で集まった時の彼の複雑そうな顔をミーウは今でも覚えていた。
嫌だと泣いたミーウを見た時に見せたキッドの顔。そして、ミーウを抱き締めた時の彼の腕の中。
「……そして……、とても……脆い、ひと……よ」
スレイジに見つめられながら、ミーウは懸命に言葉を探した。