第9章 海賊王の誓い
キッドは驚いた顔をした。
「……そう……なのか?」
「うん。ただ、あくまで“噂”だから、ちゃんとしたことはわからないけどね」
ミーウはキッドを見た。
「でも、ロジャーは悩んだ挙句にその宝を〈ひとつなぎの大秘宝〉と一緒に残したと言われているわ。……数十年後に歴史を理解していて、かつ、兵器を世界政府を倒すために使ってくれる人が現れることを願って……」
そう話した後に、ミーウはパッと明るい雰囲気になって笑った。
「あくまでわたしが聞いたことだから……確かにキッドには関係ないことなのかもね。でも……」
ミーウはキッドに少し悲しそうな顔をした。
「戦争のことは……知っていて欲しいな」
ー今も、この世界のどこがで苦しんでる人や悲しんでる人がいることを……キッドにわかって欲しい。
「……わかった」
キッドは少し笑った。
「お前の気持ちがスゲェ真剣に伝わってきたから……おれも少しは歴史について勉強する」
半分諦めたようにキッドは言ってから、バツが悪そうに付け加えた。
「だけど……お前がおれに教えろよな」
少しふてくされたような顔をして、キッドは俯いた。
ミーウは少しだけ……ほんの少しだけ寂しそうな顔をして笑った。そして、海を見た。
「……キッド」
ミーウは海を見つめたまま、キッドに聞いた。
「……何だ?」