第9章 海賊王の誓い
スレイジはミーウを真剣な眼差しで見つめた。
「お前ならどうする? ……ミーウ」
ミーウはスレイジを見返して、何回か瞬きをした。
「わたしは……」
ミーウは海を見てから、そっと目を伏せた。
(わたしなら……)
「南の海へすぐに引き返して……その島の人々を助ける」
「……」
スレイジは眉を寄せた。
「……お前にとって、〈偉大なる航路〉を進むことが海賊王になるための第1の目的のはずだ。その途中で、いきなり、南の海にある小さい島から助けてくれと言われて……お前に利点なんかあるのか? それまでの命懸けで進んで来た道を……そんな簡単に引き返せるのか? それまで自分が築き上げてきた日々が、時間が……全て無駄になってもいいのか?」
スレイジはミーウの横顔を真っ直ぐ見つめた。
「確かに……その島の人々を助けたら、せっかく進んでいた〈偉大なる航路〉への道をもう1回歩み直しになってしまう……」
(だけど……)
ーそれでも……。
ミーウはそっと目を開いた。
「わたしは……わたしを頼りにしている人がいるのに……見過ごすことなんて絶対にできない!」
「!」
スレイジは目を見開いた。
「確かに、わたしの夢はそこで止まってしまう。でも、完全に道が閉ざされたわけじゃない。もう1回、海を仲間と共に進むだけ。少しだけ寄り道をしたって思えば、それでいいじゃない。それに……」