第2章 幼き日の約束
(こういう時、どうするんだっけ?)
困っていたその時、ミーウは少し前にある人物と交わした言葉を思い出した。
『ミーウ、人を探す時はね……』
「……あ、そうか」
ミーウは頷いて、ゆっくりと目を閉じた。
数を数え終えたのにその場から一歩も動かないミーウを見て、クザンは怪訝そうに眉を寄せた。
「?」
(何をするつもりだ?)
ーーどこかで見たことがあるような……。
そんなことを思っている間に、気付けばミーウの周りに風が集まっている。
(……風……?)
それも、ただの風ではない。ーー何か鋭い“気”が含まれている風だ。
クザンは昔、海軍大将になる前のことを思い出した。
ーーある時、クザンはある人物と海賊を追っていたが、逃げ足が早くて見失ってしまった。
『あいつら、どこに行った?』
困っていたクザンにその人物は微笑みながら言った。
『あら、クザン。何を悩んでいるの? こういう時はね……』
その人物は目を閉じて、“あること”をした。ーーそれは……。
「!」
クザンは息を呑んだ。
ーーまさか、あれは……。
「“見聞色”の覇気!」
クザンがそう言った直後、ミーウの周りを風が吹き荒れた。風は静かにでも、激しく大楠の葉を揺らした。
ミーウは閉じていた目を開け、獲物を狙うような笑顔で笑った。