第2章 幼き日の約束
ミーウがグー、キッドがパー。キッドが笑顔を見せたのに対し、ミーウは不機嫌という文字が顔に書いてあるような表情をした。
「何だよ、ミーウ。じゃんけんなんだから、しょうがねェだろ?」
「……わかってるよ」
ミーウは大楠の前に不機嫌そうに歩いて行って、3人に背を向けて座り数を数え始めた。
「1・2・3・4・5……」
その間に、3人は森の中に走って行って身を潜めた。キッドは少し背の高い草むらの中に埋もれるように。アユナは幹の太い木の陰に隠れるように。キラーはミーウから見えないであろう木の上に。
「……36・37・38・39・40……」
3人が隠れ終わった時、ミーウはまだ大楠の下にいて数を数えていた。
そのミーウを大楠の太い枝の上から見ている人影があった。ーークザンだ。クザンはミーウが危険な目にあわないように、ずっと見張っている。それはミーウが天竜人であるからという理由もあるが、実は別の理由もある。
「……55・56・57・58・59・60!」
60秒を数え終えたミーウは立ち上がって、ピョンッと飛び跳ねながら後ろを向いた。
「う~ん」
(どこから探そう?)
ミーウは辺りをざっと見渡した。周りは広い森で、9歳のミーウが探すにはとても広過ぎて大変だ。