第9章 海賊王の誓い
スレイジはミーウの横顔を見つめた。
「守る……?」
「そう、〈偉大なる航路〉とそれにまたがる4つの海、北の海(ノースブルー)、東の海(イーストブルー)、西の海(ウエストブルー)、そして……南の海……これらの海に浮かんでいる島々を自分の名前だけで守ることができるのが海賊王なんじゃないかな? 四皇とはまた違って、無条件でただその島とその島の人々を守れる人こそが海賊王にふさわしいんじゃないかな? 例えるなら……“白ひげ”みたいな」
「白ひげ……」
スレイジは目を細めて、その名を言った。
ーー白ひげ……四皇の1人で白ひげ海賊団の船長である男。話によれば、三日月のような白い口ひげを蓄えているところから、“白ひげ”と呼ばれるようになったと言われている。
ミーウは頷いた。
「白ひげは大海賊時代の頂点に君臨する“世界最強の海賊”であり“世界最強の男”で、仲間たちを“家族”として何よりも大切に想い、船員のことを“息子”と呼ぶことで有名なの。だから、船員や傘下の海賊達からは“オヤジ”と呼ばれていて、みんな絶大な尊奉の念を抱かれていることが知られているわ」
スレイジは怪訝な顔をした。
「……船員を……家族……」
「うん」
ミーウは微笑んだ。
「だから、傘下の海賊達の中には自分から進んで白ひげの下につく者もいるって噂よ」