第9章 海賊王の誓い
スレイジは横目でチラリとミーウを見た。
「昨日、突然この村に来て困っていたとは言っても馴れ馴れしく食料を売ってくれなんて……これじゃあ、他の海賊と変わらなかったのかもしれないね……。だから、今日スレイジに会ったら1番最初に何か手伝おうと決めてたんだけど……逆に迷惑かけちゃった……」
「……そんなこと気にしなくてもいいって。この島の人たちはみんな優しいんだ。もちろん、おじいも。それはお前もわかってんだろ?」
スレイジは空を見上げた。
「うん」
ミーウも同じように空を見上げた。
「でも、だからこそスレイジやセメイ殿、他のみんなの役に立ちたかった」
スレイジは空からミーウへと視線を移した。
「みんなが優しくしてくれるから、わたしも精一杯、みんなの役に立てるようになりたいんだ」
ミーウはスレイジを見つめた。
「海賊王になるってそういうことも含まれてるとわたしは思うの」
その瞳は真剣にスレイジへと向けられた。
「優しくしてくれた人にはちゃんとお礼をしないと、もう1回助けてもらおうとした時に誰も自分を助けてくれないと思うの」
ミーウは真っ直ぐスレイジを見つめた。
「海賊王はこの海を制すると言われているけど……決して支配なんてしちゃいけないと思うの。支配じゃなくて……何て言うのかな……」
ミーウは今度は海へと視線を向けた。ーーミーウとスレイジがいる場所は少しだけ丘になっていて、島全体と海も見ることができた。
「そう……支配じゃなくて……島や海を“守る”のが海賊王の役目なんじゃないかな」