第9章 海賊王の誓い
ミーウとスレイジは再び川に戻って来ていた。
「……」
「……」
ミーウもスレイジも黙々と水を汲んでいる。
「……スレイジ……」
ミーウが静寂を破って、スレイジの名を呼んだ。
ドキッ
スレイジは少しだけドキッとしたが、すぐに気を取り直してミーウを見た。
「……何だ?」
スレイジは首を傾げた。
「……ごめんなさい……」
ミーウはあからさまにしょんぼりしている様子で言った。
「!」
スレイジはその様子に戸惑った。ーースレイジの知っている海賊とは決して謝らず、また略奪を繰り返すような神経自体が腐っているような人間だ。だが……。
「……」
(こいつは……他の奴らとは違うのか……?)
スレイジはミーウをじっと見つめた。
「や、やっぱり……許してくれない……よね?」
ミーウは顔を俯かせたまま、スレイジの方を見ないで言った。
「本当にごめんね……。手伝うとか言いながら、逆にスレイジの手を煩わせたり、2回も大変な思いをさせたりして……」
「もういい」
ミーウが謝罪の言葉を並べていると、スレイジはミーウの言葉に割り込んだ。そして、水を汲み終わった桶を地に置いて、優しくミーウの頭を撫でた。
「?」
ミーウはそっと顔を上げた。
「お前はおれを手伝おうとしてくれたんだろ?」