第9章 海賊王の誓い
ーなァ、兄貴……。
(おれはまだまだ兄貴のように強くなれそうもねェな……)
スレイジはふっと柔らかく笑って空を見上げた。ーー空の上にいる尊敬してやまないあの人に自分の想いが伝わるように……。
「ス、スレイジ」
スレイジは呼ばれて、空からミーウに目線を移した。
「は、早く……家に行かない?」
水がいっぱいに入った重たい桶を1つ持っているミーウは辛そうに笑いながら言った。
「あァ、そうだな」
スレイジももう1つの桶を持って、ミーウの隣に行った。そして、手を差しのばした。
「ほら、貸せよ。それも持ってく」
ミーウは首を横に振ってから歩いた。
「こ、これは……わたしが家までちゃんと持ってく」
ミーウは辛そうな表情をしながら歩いた。
スレイジはため息をついた。
「お前に運ばせたら、何するかわかんねェだろ?」
「ちゃ、ちゃんと持ってくもん」
ミーウはムキになって少しだけ歩く速度を上げた。
水がちゃぷちゃぷと音を立てて今にもこぼれそうになっている。
「いいから貸せって!」
スレイジはせっかく汲んだ水がこぼれそうになっているため、焦ってミーウの持っている桶を取ろうとした。
「な!? スレイジ、ダメだって! きゃっ!?」
「は!? うわっ!?」
ミーウとスレイジが叫んだ瞬間、ミーウの持っていた桶がひっくり返ってしまった。
スレイジの桶も、だ。